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非上場の会社でも必要?財務諸表の「自主点検」 ~セルサイドDDのススメ~

2019.07.23コラム

はじめまして。
プルータス・マネジメントアドバイザリー編集部(PMA編集部)です。

不定期で、M&Aや親族外事業承継について、その道のプロフェッショナルにインタビューし、M&Aや親族外事業承継を考え始めた、これからやっていきたい、そんな方々に向け、PMA編集部が、読者の方々の目線で気になることをインタビューして参ります。

今回は、プルータス・マネジメントアドバイザリー代表取締役社長であり、公認会計士でもある門澤氏に、「非上場会社でも必要?財務諸表の「自主点検」」と題し、親族外事業承継やM&Aを考え始めた方が、実際のプロセスに進む前整えておくべき自社の財務諸表や、体制について、インタビューして参りました。

積み上げられた証憑類

PMA編集部:そもそも、財務諸表の「自主点検」とは何でしょう?

上場企業が監査法人から受ける「監査」のように、企業が作成した財務諸表や、その過程の第三者の目でチェックすることです。上場企業は、監査法人から監査を受ける必要があります。
一義的には適正な財務諸表を作成する責任は会社にありますが、会社が財務諸表を作成する過程で、ミス(誤謬)があったり、実態より業績を良く見せようと粉飾(不正)したりして、投資家の意思決定を誤らせる可能性があるため、
第三者のチェックの目的で上場企業は監査を受けることが義務付けられています。

会社は監査法人より監査を受け、自分たちが会計基準に準拠して適正に財務諸表を作成している旨の意見を監査法人からもらうことになります。
万が一、この意見がもらえなかった場合は、投資家の意思決定を誤らせる可能性がある財務諸表ということで上場の維持が困難となり大騒ぎとなります。
また、不適切な財務諸表を利用して投資した結果、損害を負ってしまった投資家から、損害賠償請求を受ける可能性も出てきます。
そのため上場会社は、コストをかけてでも適切な財務諸表を作らなければならない義務や動機があり、これらを守ることができなかった上場会社は大きなペナルティを負うことになります。

PMA編集部:一方で、未上場の会社は、財務諸表をチェックされることはあるのでしょうか?

原則、上場会社でも未上場会社でも、当然に適切な財務諸表を作成する必要があるため、
多くの会社は経理担当を雇用し、また税理士を雇い、適切な会計処理の下、適切な財務諸表を作成します。
しかし上場会社と異なるのは、作成した財務諸表を毎期チェックする監査法人のような存在はいません。
もしチェックされるとしたら、数年に一回くる可能性がある税務署か、もしくは融資を受ける際に銀行にチェックされる程度でしょうか。
ただこれも監査法人による監査のような、年に数百時間~千時間以上の時間をかけてチェックするものではないでしょう。
そのため未上場会社の財務諸表は上場会社の財務諸表と比較すると、第三者によりチェックされる機会が乏しいので(会社にもよりますが)ミス等が多いと言われています。

PMA編集部:では、どのような機会に未上場会社の財務諸表のチェックが必要となるのでしょうか?

最近では未上場の会社も財務諸表をしっかりとチェックされる局面が増えてきています。それは「親族外事業承継」をする時です。
この「親族外事業承継」とは、第三者の企業または個人に、自分の会社を売却することを意味します。
すなわち、外部の第三者(買い手)が承継対象の会社(対象会社)をオーナー(売り手)から買うことになります。
買い手は売り手より提供される財務諸表(税務申告書)をみて、株式価値算定を実施し、また簿外債務がないか、売上・費用におかしなところがないか確認します。

PMA編集部:デュー・ディリジェンスですね?

はい。
買い手は、財務諸表(税務申告書)を見ただけでは情報が少なすぎてなかなか判断がつきません。
また株式価値算定や財務諸表の確認等は専門的なスキルが必要なので、買い手の会社だけではなかなか対応することが難しいです。
そのため買い手はデュー・ディリジェンス(以下、「DD」という。)を実施します。

買い手はDDをする場合、通常は財務面では公認会計士を財務DDの専門家としてチームメンバーに入れます。
ほぼ全ての公認会計士は、どこかの時点で監査法人に所属し上場会社に対して監査業務を行ってるので、上場会社の財務諸表を監査する能力を有しています。
これら会計士が買い手の目線に立ち、対象会社の財務諸表を詳細に確認していくことになります。

いったんDDプロセスに入ると、売り手と対象会社は大変です。これまでは税務署対応か銀行対応程度しかしていなかった中で、何人もの会計士チームより1か月程度に渡って、過去何年にも遡って財務諸表を確認され、その確認作業に必要な数十~数百の資料提出・Q&A対応を求められることが一般的です。

大量の資料開示請求と大量の質問を浴びせられ、現場はパンクします。
挙句、色々と問題が出てきた結果、初期的なオファーと比べ買収金額の提示額を大幅に下げられ、またM&A自体が破談となってしまうといったことすらも出てきます。
こうなると、売り手・対象企業も散々時間を使った挙句、当初想定していなかったシナリオになってしまい、散々な目にあってしまいます。

PMA編集部:このような、DDでパンクしない、又は各種問題が露呈しないようにするにはどうしたら良いでしょうか?

もし「親族外事業承継」を検討する場合は、自社の財務諸表や資料管理状況が、DDに耐えられる水準なのか、についても事前に留意する必要があります。
もしちょっと厳しいな、と判断する場合は、事前に公認会計士等の専門家に相談して、DDに耐えられる環境を作っておくことをお勧めします。
これを「セルサイドDD」いいます。

PMA編集部:財務諸表、そのバックデータ、過去の証憑類等を整備し、買い手のDDチームに対して適切な回答を出せるよう準備しておくことが大事なのですね。

この環境作りには一定のコストがかかりますが、買い手との交渉で満足のいく結果を得ることと比較すると、そこまで大きなものではないはずです。是非とも、ご一考ください。

インタビューにお答え頂いた方
公認会計士 門澤 慎

M&A・事業継承に関するご相談を無料で承ります。
まずはお気軽にお問い合せください。

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