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M&Aに登場する専門家とは?

2019.12.25コラム

M&Aを進めていくと、様々な専門家が登場します。また売り手と買い手によっても、起用する専門家が異なってきます。今回は、M&Aに登場する専門家とその役割を簡単に説明したいと思っています。

士業の写真とコラムタイトル

M&Aアドバイザー

売り手(買い手)が一番最初に接する専門家は、M&Aアドバイザーになるでしょう。M&Aアドバイザーは売り手(買い手)がM&Aを進めていく上で全ての分野でアドバイスをしていくことになります。
その内容は多岐に渡り、例えば、買い手(売り手)候補先の選定、株価算定、ストラクチャーの検討、スケジュール策定とその進捗管理、DDの対応、買い手(売り手)との交渉、クロージングなどがあります。
売り手(買い手)にとっては頼るべきはこのM&Aアドバイザーとなるので、満足する会社売却(または買収)ができるか否かはこのM&Aアドバイザーにかかっているといっても過言ではありません。そのため、頼りになる優秀なM&Aアドバイザーを選定する必要があります。

M&Aアドバイザーには、アドバイザー型と仲介型の2タイプある

M&Aアドバイザーには、大きく分けてアドバイザー型と仲介型の2つのタイプがあります。
アドバイザー型は売り手と買い手のどちらかに就いてM&Aのアドバイスをする(そのため報酬もどちらかからのみ受領する)専門家です。
一方で仲介型は、買い手と売り手の両方に就いてM&Aを進めるプレーヤー(そのため報酬も買い手・売り手の両方から受領する)です。
一般的には仲介型は利益相反行為があるため、アドバイスというよりはマッチングをメインとした進め方をします。
一方でアドバイザー型は利益相反行為ではないので、売り手・買い手のどちらかの立場でしっかりとアドバイスをすることができます。それぞれ長所・短所はありますが、個人的には、特に売り手にとって会社を売るということは一生に一回の経験のはずなので、じっくりとアドバイスをしてくれるアドバイザー型のM&Aアドバイザーをお薦めします。

弁護士

M&Aを実行するためには株式譲渡契約書を締結する必要があります。そのため株式譲渡契約書を作成するために通常は、売り手・買い手の双方で弁護士を起用します。
株式譲渡契約書には、譲渡金額だけではなく、前提条件、表明保証、損害賠償等、様々な取り決めがなされます。
例えばM&A実施後に何かトラブルが発生した場合、買い手は売り手に対してそのトラブルから発生した損害の賠償を検討します。ここで株式譲渡契約書上で売り手が負うべきトラブルの内容や損害賠償の範囲を規定しておけば、その売り手の責任はその範囲内で止まります(逆に買い手もしかり)。
そのため株式譲渡契約書に記載される内容は非常に重要なので、可能であれば顧問弁護士ではなくM&Aに精通した弁護士を別途起用することをお薦めします(顧問弁護士がM&Aに精通している場合は問題ないと思います)。

また弁護士は法務デューデリジェンス(以下、「法務DD」という。)でも活躍します。
買い手にとって売り手企業の契約関係や法的リスクの検討は非常に重要となります。取引先との契約条件だけではなく、労務問題や許認可(株主が変わったら許認可がなくなってしまう等)、顕在化していない訴訟関連等、様々な法的リスクが潜んでいる可能性があります。
そのため買い手は事前に売り手企業の法的リスクを洗い出すためにも、弁護士を起用して法務DDを実施します。

会計士・税理士

上記の法務DDと同様に、買い手は財務・税務面でもデューデリジェンス(以下、「財務・税務DD」という。)を実施します。
買い手は初期的には売り手から決算書等を入手してその会社の売上高や収益力等を分析することになりますが、その決算書は(誰かからの)正しいというお墨付きがあるわけではありません。
もしかしたら粉飾決算が行われていたり、顕在化する可能性が高い偶発債務が計上されていないかもしれません。
また税務面でも例えば税務調査が長い期間きておらず、リスクの高い税務処理がなされている可能性もあります。
そのため、これらリスクを排除するために買い手は会計士・税理士を起用して財務・税務DDを実施します。ここでもし何か見つかった場合は、譲渡価額の減額要因になるので、重要なプロセスとなります。

その他専門家

上記で紹介した法務DD、財務・税務DDに加え、買い手によってはビジネスDD、労務DD、環境DD、IT DD等を実施するケースもあります。
ビジネスDDは売り手企業及び売り手企業が属する業界に精通した専門家を起用しビジネスの将来性を検討することがメインとなります。
労務DDは一部法務DDと重複しますが、社労士等を起用して未払い残業代の有無や労務問題の有無を検討するDDとなります。
環境DDは例えば工場を持っている会社を買収する場合に土壌汚染の発生の有無等を検討するDDとなり、最後にIT DDは売り手のIT環境を分析した上で買い手のIT環境との親和性等を検討するDDとなります(買収した後、ITを統一する際に多額の追加投資が必要となる可能性がある)。
これらDDは常に実施されるわけではありませんが、売り手企業のリスクに応じてM&Aアドバイザーと相談しながらその起用の有無を検討していくことになります。

まとめ

このように簡単にまとめただけでも多数の専門家が登場し、これら専門家に加え、買い手・売り手の当事者や担当者、顧問税理士等が加わることになります。ここでそれぞれが自身の立場で言いたいことを言うだけでは収集がつかなくなりM&Aの進捗にネガティブな影響を与えてしまいます。そのため売り手も買い手も優秀なM&Aアドバイザーを起用し、M&Aアドバイザーがこれら専門家をしっかりとまとめつつ、着実にプロセスを進めていくことが重要となります。

この記事の執筆者

この記事の執筆者
公認会計士 門澤 慎

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