COLUMN

コラム

2024年度上期のM&A件数

2024.07.16コラム

 前回のM&A件数に関するコラムでは、「コロナ禍前の2019年にはわずかに及ばないまでも、2021年、2022年の件数を上回る結果となりました。これら結果をみると、2023年度下期にかけてM&A市場は大きく回復したと言えるのではないでしょうか。」とコメントをしていますが、それでは2024年度も2023年度下期の勢いを継続しているのでしょうか。

 上記の表のとおり、2024年度も引き続きM&Aの件数が増えており、その勢いはさらに増加しているようにも見えます。コロナ禍前の2019年度も含め、1月~6月のすべての月で過去最高の件数(2019年度以降で)となっています。2019年度からの上期累計の比較でも、2024年度は初めて上期で1,000件を超える1,142件となりました。

 事業承継のニースは引き続き強く、親族外承継がM&A全体の件数を底上げしていることがこの数年のトレンドですが、特に2024年度は買い手となる上場企業によるM&Aの件数が増加しているように思われます。いわゆる東証からの「東証によるPBR1倍割れ改善要請」「資本コストや株価を意識した経営の推進要請」が徐々に浸透し、また株式市場の株高もあいまって、上場企業が積極的にM&Aを検討していることも大きく影響していることでしょう。

 一方で件数が増えるとトラブルも増えます。昨今でも朝日新聞社が報道したルシアンHD事件など、M&Aに関する悪質な事件も表面化してきました。前回のコラムで中小企業庁が「中小M&Aガイドライン(第2版)の改訂版(第3版)を検討している」と書きましたが、増加する事業承継型M&Aに対して、適切なM&Aの推進に関するさらなる啓蒙活動が必要であることは明白です。我が国でもこの10数年でやっとM&Aが一般的な経営手法として定着してきました。この流れを止めないためにも、M&A支援機関を中心としてM&Aに関わる全関係者が高い意識をもってM&Aプロセスに関与すべきであると改めて考えました。

過去コラム

2023年度のM&A件数(通年比較)
2023年度のM&A件数(年度比較と同月比較)
2022年度のM&A件数(年度比較と同月比較)

この記事の執筆者

この記事の執筆者
公認会計士 門澤 慎

M&A・事業継承に関するご相談を無料で承ります。
まずはお気軽にお問い合せください。

プルータス・マネジメントアドバイザリー所在地:東京都千代田区霞が関3-2-5 
霞が関ビルディング35階 
大阪オフィス:大阪府大阪市中央区本町4-2-12 
電話番号:03-3502-1223 
© PLUTUS Management Advisory Co., Ltd.