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ベンチャー企業の事業承継 「M&Aを活用したIPO(株式公開)に代わるEXIT」

2019.01.10コラム

ベンチャー企業が直面する事業承継問題とは?

事業承継問題というと、長年(時には数世代にわたって)経営していたオーナー社長が後継者難で子供に後を継がせることができず廃業の危機に直面するといったことが一番に思い出されると思います。しかし、事業承継問題はこのようなオーナー企業に限った話ではなく、IPOを目指しているベンチャー企業でも直面する問題となっています。

壁に描かれたEXITを示すシンボルと階段

日米ベンチャー企業のEXIT動向比較

日本におけるベンチャー企業の多くは、IPO(新規株式公開)を公言し、ベンチャーキャピタルから資金調達をするケースが多く、またIPOを前提に経営していることからも、EXIT(イグジット)を果たしたベンチャー企業の約4割がIPOであると言われています。

一方でアメリカにおいては、EXITを果たしたベンチャー企業の約8割から約9割がM&Aによるものと言われており、そもそもM&AによるEXITを前提に起業を繰り返すシリアルアントレプレナーなどの存在もよく知られています。

アメリカでのEXIT動向

アメリカにおけるベンチャー企業のEXIT動向を表すグラフ
「VC から出資を受けた企業の IPO と M&A の社数割合の推移」(一般社団法人ベンチャーエンタープライズセンター『ベンチャー白書2016』) より改変

もちろん、アメリカではIPOのハードルが高く、一方で日本はそのハードルが低いこと(東証マザーズの最低時価総額が10億円以上)やその他色々な理由はあるものの、その比率の差は歴然たるものであります。また、日本においてはベンチャー企業を取り巻くエコシステムが確立されておらず、起業家より投資家(ベンチャーキャピタル等)のほうが優位な立場にあることもM&AによるEXITが進まない原因のひとつであると言われています。

生み出した技術、ノウハウやサービスをスケールさせるためのパートナーとは?

新しいビジネスモデル、ソリューション、技術やプロダクトを生み出したベンチャー企業が、単独でビジネスとして確立することは並大抵のことではありません。実際に創業後3年以内の廃業率は70%以上と言われており、ますます競争が激化する日本において、生き残ることは非常に大変なことです。

しかし、単独では収益化が難しいベンチャー企業においても、自分達が作り出した技術やノウハウを大きくスケールさせることができる大企業と組むことにより、単独で事業展開をする時間軸を超えて早期に収益化を達成することは十分可能なはずです。

上場企業にとって新規事業領域への参入は大きなテーマ

翻って、日本における大企業を取り巻く市場環境は、ほとんどの場合において成熟しており、既存領域だけでの成長には限界を感じている場合が多いと思います。

従って、これまで通りの事業運営では株主の期待に応えて利益を上げ続けていくことは(なかなか)難しく、今後は、ベンチャー企業が持っている技術、ソリューション、プロダクト、新しいビジネスモデルを積極的に取り込み、既存領域でのイノベーションや新たな領域での成長が必要不可欠となるだろうと言われています。

大企業にとっては、ベンチャー企業の買収を通じて、既存事業の差別化や新しい収益事業の確立、デジタル人財の確保などを実現でき、一方でベンチャー企業にとっては、資金力・販売網・信用力などの大企業が持つ資産を活用し、クライアントの拡大や技術開発の促進、コストダウンなどを実現し、早期に収益化を達成することが期待できます。

身近になりつつあるベンチャー企業のM&A EXIT

大企業(特に上場企業)のほとんどがM&Aを今後の事業計画において検討している今日において、ベンチャー企業の起業家にとって、M&AによるEXITは非常に身近なものになりつつあります。最近では、いくつかの大企業でも、ベンチャー企業の技術の取り込みを目的として、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を立ち上げ、ベンチャー企業に出資することで、技術・ノウハウの取り込み等を図っていますが、まだまだ少数です。

今後、益々、資本市場からのプレッシャーや競合他社との競争がし烈になり、企業としての成長のスピードを求められる時代となります。
そのため、企業として次の一手、その次の一手を常に検討し種をまいておかなければ、気が付くと競合から大きく離されていた(抜かれていた)といったことも発生するでしょう。
(もちろんベンチャー企業を買収するだけが全てではないですが)企業が中長期で生き残るためにも、次の成長の種を見つけ育てる準備をすることは非常に重要だと考えます。

この記事の執筆者
公認会計士 門澤 慎
米国公認会計士(ワシントン州) 島田 光太郎

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