
この数年、年に何回か、M&A関連やファイナンス関連で参考になる書籍を教えてください、と言われることがあります。その都度、その時に良いと思った本をお伝えしていますが、今回はこのコラムの枠で、過去にお勧めしたことがある本をまとめて紹介したいと思います。
M&A全般
①「M&Aの実務のすべて」有限責任監査法人トーマツ 日本実業出版社
②「M&Aコンサルティングの実務」佐武 伸 中央経済社
③「会社売却とバイアウト実務のすべて」宮崎 淳平 日本実業出版社
④「企業買収」木俣 貴光 中央経済社
①は、特に上場企業のM&Aに関与される方で、入門書は物足りないが、専門特化した専門書はつらい、といった方にお勧めです。M&Aプロセス全般について、ちょうどよいレベル感で(少し難しい程度)整理されている本です。
②は中堅・中小のM&Aに関与される方が勉強される本として良いと思います。中堅・中小のM&Aプロセスを分かりやすく解説されており、またM&A担当者としての資質等にも言及しています。契約書の書式例や資料の例を載せているのもよかったです
③はセルサイドFAの視点でのM&Aプロセスをしっかりと解説した本です。一定程度M&A実務を経験した方にお勧めで、読み応えがあると思います。またこの本はバリュエーションにも力を入れて解説しており、特にベンチャー企業のバリュエーションについてもしっかりと解説されている点が特徴的です。
④はM&Aのプロセスを物語風に勉強できる点が特徴的です。M&A関連業務に従事することになった方が入門書と併せて読むと、入門書で書かれている内容の意味が理解しやすくなると思います。
企業価値評価と法務関連
①「企業価値評価の実務Q&A」プルータス・コンサルティング 中央経済社
②「ゼミナール コーポレートファイナンス」朝岡大輔 / 砂川信幸 / 岡田紀子 日本経済新聞出版
③「M&A実務の基礎」アンダーソン・毛利・友常法律事務所 商事法務
①は企業価値評価で発生する論点をQ&A形式で網羅的に解説した本です。実務担当者が現場の中で(初心者から上級者まで)疑問に思った論点を説明しているため、かゆいところに手が届く本になっていると思います。辞書代わりに使うのも効果的だと思います。
②はコーポレートファイナンス全般を分かりやすく解説した本となります。入門書として読むには少し読み応えがあるかもしれませんが、少しでもファイナンスに知見がある方にはちょうど良いレベルの本だと思います。
③はM&Aプロセスを法律家の観点で説明している本です。M&Aに関する各種契約書についての解説はもちろんのこと、M&Aのプロセスの事項や検討すべき事項について、法律家の観点から網羅的にポイント解説をしています。がっつりと読んでも良いですし、一読した上で、辞書代わりに使うと効果的かと思います。
事業承継関連
「社長、会社を誰に、どう継がせますか -事業承継の新しい教科書-」門澤慎 / 佐奈徹也 かんき出版
この本はいわゆる専門書ではなく、事業承継を考えている経営者が最初に読む入門書として書かれた本です。しかし随所に専門的な解説も加えられているので、事業承継関連の業務をしている方もにも参考となる本です。また事業承継を親族内と親族外で一気通貫に説明されている点も特徴的です。親族内事業承継の専門家と親族外事業承継(M&A)の専門家が共著で書いた本なので、このような本となっています。そのため会社を親族に継がせるのか、はたまた外部に売却するのか、迷っている経営者には最適な本だと思います。(すいません、筆者が自分のため説明が厚くなりました。。。)
以上、8冊を個人的な好みをもとに紹介させて頂きましたが、M&Aや事業承継に関する本は日々出版されているので、もっとたくさんの良い本があると思います。これからも時々、自分が良いと思った本を紹介していきたいと思います。
掲載書籍
M&A全般
①「M&Aの実務のすべて」有限責任監査法人トーマツ 日本実業出版社
②「M&Aコンサルティングの実務」佐武 伸 中央経済社
③「会社売却とバイアウト実務のすべて」宮崎 淳平 日本実業出版社
④「企業買収」木俣 貴光 中央経済社
企業価値評価と法務関連
①「企業価値評価の実務Q&A」プルータス・コンサルティング 中央経済社
②「ゼミナール コーポレートファイナンス」朝岡大輔 / 砂川信幸 / 岡田紀子 日本経済新聞出版
③「M&A実務の基礎」アンダーソン・毛利・友常法律事務所 商事法務
事業承継関連
「社長、会社を誰に、どう継がせますか -事業承継の新しい教科書-」門澤慎 / 佐奈徹也 かんき出版
この記事の執筆者
- この記事の執筆者
- 公認会計士 門澤 慎