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新聞やニュースでよく見る「TOB」とは?

2019.09.18コラム

最近、日経新聞等を読むと、「TOB」という文字をよく見ます。伊藤忠商事のデサントに対するTOB、ヤフーのアスクルに対するTOB、HISのユニゾHDに対するTOB、そしてヤフーのZOZOに対するTOBと、劇場型のTOBに関するニュースが続いたので、最近、よく耳にするという印象を持ったのかもしれません。
このTOBですが、ある程度日経新聞等を読まれている方は、何となくはわかると思います。
大きな会社を買収する時に使うルールかな、とか、もう少し詳しい人は上場会社を買収する時に使うルールかな、と認識されていると思います。

株価チャート
 

TOBとは一定のルールのもと株券等を取得するための制度のこと

 
TOBとは、株式公開買い付け(Take Over Bid)の略称で、有価証券報告書提出義務を負う会社が発行する株券等を取得するための手法となります。
その使用される目的や状況は様々なものが想定されますが、いくつかの適用条件の中でも、有価証券報告書提出義務を負う会社の議決権3分の1超の株式を取得する場合、我が国ではこの公開買付制度が強制されます。
そのため、上場会社の支配権取得を伴う株式取得をするM&Aではほぼ必ず使われることになります。

TOBは、金融商品取引法で定められたルール

 
またTOBは「金融商品取引法」という法律で規定されたルールとなります。
金融商品取引法は、証券市場における有価証券の発行・売買等におけるルールです。
証券市場を安全なものとして証券市場の参加者を増やし取引を活発にするために、公平かつ円滑に有価証券の発行・売買等ができるようにするために作られたルールとなります。
TOBもこの趣旨を守るために作られたルールとなります。

では具体的にTOBはどのようなルールなのでしょうか。
 

TOBの趣旨とは、会社の支配権が新たな買い手に渡る前に、少数株主等にも売却機会を与え、市場の公平性を担保すること

 
詳細に書くとかなりの分量となるのでそこは専門書を読んでいただくとして、
簡単に言うと、例えばある会社Aがある会社B(上場会社)を買収しようとしてB社の大株主Cと交渉していてその交渉が妥結した時、A社とCでこっそりと株式の売買をするのではなく、他の株主(少数株主)にも同じ条件で売却の機会を与えなさいよ、というものです。
つまりB社の株主全てに同じ条件でA社に株式を売却する機会を与える、ということが最も重要な趣旨となります。自分が株を持っている会社の支配権が、何も知らないうちに他社に移ってしまったら大変だからです。

TOBは、買い手と売り手の株主との間で、事前に応募契約を締結できる

  
直近で話題になったヤフーのZOZOに対するTOBでは、ヤフーとZOZOの大株主である前澤さんの間であらかじめ交渉を行い、前澤さんの保有株式36.76%のうち30.37%を1株2,620円で取得することで合意しています。
ただ本件はTOBなのでまだ売買が成立しているわけではなく、前澤さんはTOBにその内容で応募しますよ、という応募契約を両者間で締結しています。
その上で他の株主にも2,620円でヤフーはZOZO株式を取得するつもりですがいかがでしょうか、という形で同条件での売却の機会を設けています。

しかしここで一つ問題がでてきます。

TOBには、取得株式の上限・下限を設定できる

 
例えば、連結子会社にできるだけの株式しか取得するつもりはない(50.1%とか)のに、全株主に応募されてしまい100%の株式を取得しなければならなくなるかもしれない、という問題です。
仮にそうなってしまうと、当初の想定以上の多額のM&A資金が必要となってしまうので、怖くてTOBなんてできません。
そこでTOBのルールでは取得株式の上限(と下限)を設定することができます。例えば50.1%以上は取得しませんよ、というものです。
ヤフーとZOZOのTOBでも、ヤフーは上限を50.1%としています(下限は33.4%)。
このようにしてTOBのルールでは他の株主にも公正な売却機会を与えるととも、買い手にも配慮したルールにしているのです。

プレスリリースはTOBに関する情報が全て記載されている

  
TOBに関する情報は、実はプレスリリースに全て書いてあります。
細かい字で長々と文章が書かれているので中々とっつきにくいかもしれませんが、一度じっくり読んでみると色々と見えてきて面白いかもしれません。
プレスリリースのフォーマットは共通なので、一度ある会社のプレスリリースをしっかり読むと、他のTOBのリリースはそこまで難解に感じないはずです。みなさん、是非、チャレンジしてみてください!

最近の事例

最近のTOB開始に関する各社からのリリースをピックアップし掲載します。

ヤフーによるZOZOへの公開買い付け及び資本業務提携契約締結に関して 2019年9月12日発表
株式会社 ZOZO 株式(証券コード 3092)に対する公開買付けの開始予定及び資本業務提携契約の締結に関するお知らせ
住友電気工業によるテクノアソシエ対する公開買い付け開始に関して 2019年8月21日発表
株式会社テクノアソシエ株式(証券コード:8249)に対する公開買付け開始に関するお知らせ
ソフトバンクグループ傘下の投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループによるユニゾホールディングス対する公開買い付け開始に関して 2019年8月16日発表
ユニゾHD(3258) サッポロ合同会社によるユニゾホールディングス株式会社株券(証券コード3258)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ
エイチ・アイ・エスによるユニゾホールディングスへの公開買い付け開始に関して 2019年7月10日発表
ユニゾホールディングス株式会社株式(証券コード:3258)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ
伊藤忠商事によるデサントへの公開買い付け開始に関して 2019年2月8日発表
株式会社デサント株式(証券コード:8114)に対する公開買付けに関して

TOBに関する相談は弊社まで

弊社では、上場企業の買収、上場企業の株式譲渡、オーナーの事業承継、組織再編行為等の他、事業承継支援、ベンチャー企業のM&A EXIT支援等、様々なステージの企業やそのオーナー様、投資家の方に、株式や経営に関するサービスをご提供しております。

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公認会計士 門澤 慎

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