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デューデリジェンスのプロセス、スケジュール

2022.03.15コラム

デューデリジェンスのプロセス、スケジュール
 

M&Aではデューデリジェンスを実施する

 M&Aにより会社を買収する際、会計士・税理士・弁護士等による、財務、税務、法務等のデューデリジェンス(以下、「DD」という。)を実施します。M&Aのプロセスの中でこのDDプロセスをいかに効果的かつ効率的に実施するかが重要となります。それではDDプロセスは一般的にどのようなプロセス、スケジュールなるのでしょうか。

まずは実施するDDの領域を検討する

 まず最初にどの領域までDDを実施するのか、について検討することになります。会計税務面や法務面を検討する財務DD、税務DD、法務DDは基本的にほぼ全てのM&Aで実施されることになりますが、加えて、ビジネスDD、環境DD、IT DDなどのDDが実施されることがあります。どこまでこれらDDを実施するかの検討は、M&Aを検討している会社(以下、「対象会社」という。)の業種や管理体制等を勘案しつつ、フィナンシャルアドバイザー等とも検討しながら決定します。

次にDDのキックオフを実施する

 次に実施するDDの範囲が決定したら、買い手企業と各DDの専門家とフィナンシャルアドバイザーが一堂に集まりDDについてのキックオフMTGを開催します。このキックオフMTGでは、それぞれの専門家が自己紹介をした上で、買い手が認識している対象会社のリスク、各専門家が想定している対象会社のリスクについてディスカッションをして、買い手企業と各専門家間で対象会社のリスク等の認識をすり合わせます。そしてまたDDのスケジュール、特に中間報告の日程や資料の受け渡しの方法についてもキックオフMTGで共有されます。案件にもよりますが、一般的にはDDの期間は1か月程度です。そのためDDの中間報告をDD開始後の3週間あたりにセットをして、残り1週間で中間報告時に出てきた追加質問事項や積み残しの論点を潰し込み、最終報告を実施するといったスケジュールが一般的となります。この点、しばしばDD期間が2~3週間しかない、といった案件もあります。DD開始時に資料が十分に揃っている場合や、小さい会社で見るべき部分が少ないと言った場合であれば対応することも十分可能ですが、それなりの業歴があるしっかりと事業を行っている会社であれば、一定程度の検討すべき事項が発生します。そのためこの場合は、各DDにおいて検討すべき論点を限定する(リスクは残りますが)ことで対応することになります。

キックオフ後はDD開始 資料の依頼やインタビューを実施する

 キックオフMTG後は、DD開始となります。専門家は依頼資料リストや質問リストを作成し、買い手企業やフィナンシャルアドバイザーを通じて対象会社に送付することで、DDで必要な資料や質問事項の回答を入手することになります。また一定期間経過後、対象企業に対してインタビューを実施することがあります。このインタビューは大きく分けて、マネジメントに対するインタビューと実務者に対するインタビューの2つがあります。マネジメントに対するインタビューでは、対象会社のビジネスの概要や経営戦略等をヒアリングすることで、対象会社のビジネスの状況を把握します。そして実務者インタビューでは各DDの領域に従事している実務の責任者や外部者(例えば税理士等)に対して実務的な側面のヒアリングを行います。このインタビューによって、入手した資料等で分析した事項の裏付けをとったり、資料だけでは見えてこない事項について直接確認することか可能となります。

DD業務に精通した専門家をアサインすることが重要

 DDはM&Aプロセスの中でも、非常にタフなプロセスとなります。可能であればある程度のスケジュールを確保した上でDD業務に精通している専門家をアサインし、効果的かつ効率的にDDを実施することがM&Aを成功させる要因の一つとなるでしょう。

この記事の執筆者

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公認会計士 門澤 慎

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