
皆さんは会社分割という言葉を聞いたことがありますでしょうか。文字通り会社を分割することですが、近年、M&Aの現場ではよく使われる手法となりました。今回と次回では、会社分割について書いてみたいと思います。
分社型分割と分割型分割
まず会社分割とは、会社法上に規定されているもので、会社法第2条29号と30号で吸収分割と新設分割が規定されています。また会社法757条から765条で、吸収分割と新設分割における会社法上の分割手続きとその効力等が記載されています。吸収分割はすでに設立している会社に事業を移転させる行為で、新設分割は新たに設立した会社に既存の事業を移転させる行為となります。
そして会社分割には、分社型分割と分割型分割の2つの分割方法があります。
①分社型分割:移転させたい事業を分割法人の子会社とする方法
②分割型分割:移転させたい事業を分割法人の株主の下で別会社とする方法(分割会社とは兄弟会社)
残したい事業を残すことができる
例えば、ある会社が祖業のパン事業と新規事業で20数店舗を運営している居酒屋事業を経営しており、祖業のパン事業は残したいが居酒屋事業は後継者がいないため売却したいと、考えているとします。この場合、既存の会社を売却してしまうと祖業のパン事業まで売却することになるため、祖業を残すことができません。このような時、会社分割という手法を使い、既存の会社をパン事業の会社と居酒屋事業の会社の2つに分割することで、パン事業を残し居酒屋事業のみを売却することが可能となります。
税務上の取扱いに注意
会社分割をうまく活用すると、売却した事業だけを株式譲渡という形で売却することができます。一方でどのように分割して売却をするのかで、税務上の取扱いが異なる場合があり、思いもよらない税金が発生することになります。次回はこの税務の部分を簡単に説明しようと思います。
この記事の執筆者
- この記事の執筆者
- 公認会計士 門澤 慎