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M&Aアドバイザーになるための(最低限)必要な素養とは

2024.05.08コラム

M&Aアドバイザーになるための(最低限)必要な素養とは

 昨今、我が国ではあらゆる業界から、人材が足りないという声が聞こえてきます。一般的には少子高齢化により生産人口が減少していることが大きな要因に挙げられますが、実際にはその要因に加え、即戦力人材が人材マーケットで不足していることも要因の一つであると思われます。企業を取り巻くビジネス環境において、どの業界でもビジネスのスピードがかつてないほど早くなったことで、じっくりと人材を育成する余力のある企業が減っています。そのため人材マーケットに即戦力人材が出た瞬間、取り合いになってしまい、人材マーケットにおける即戦力人材の枯渇という状況が発生しているものと考えます。

 私が属しているM&Aアドバイザー業界でも同様の状況です。昔はM&Aアドバイザーというと、大手の投資銀行や外資系のファームが中心であったため、人材のその中でぐるぐる回るというイメージでした。しかし、昨今は、事業承継型M&Aが活況となったことで、大手の投資銀行や外資系のファームに加え、仲介会社、M&Aブティック会社、会計事務所系、地方銀行系、そしてそこから独立したメンバーで作った会社など、多種多様なM&Aアドバイザー会社が設立されました。例えば中小M&A支援機関として登録している会社をみても、3,117社(2024年4月30日時点)もあります。これらの数の会社が会社を成長させるために人材を必要とするので、とても経験者の即戦力人材だけでは人材ニーズを満たすことができません。そのため、必然として未経験や周辺業務を経験した人間がターゲットとなります。しかし未経験といってもまったくの門外漢だと採用するのに難しいのも事実です。それではM&Aアドバイザー業界に最低限必要なスキルは何でしょうか。

 私はM&Aアドバイザー業務は、総合格闘技だと思っています。仕事を取ってくるためには営業マインドが必要となります。そしてM&Aアドバイザーとしてしっかりとアドバイスをするためには、財務会計、税務、法務、ファイナンス等、幅広い専門領域の知識が必要となります。これら専門知識を習得するためには一朝一夕では難しく、多くの時間や経験が必要となります。一方でこの中で最低限欲しい知識や経験が何かと問われば、私は「財務会計」と答えます。M&Aアドバイザーは、会社や事業を買収または売却するためのアドバイザーです。そして買収または売却するためには、会社や事業の価値を検討しなければなりません。価値を検討するためには会社や事業の業績等を分析する必要があります。そのため、まずは財務会計の知識が必要になるのです。

 このように会社や事業を数字で分析できるが、M&Aアドバイザー業界に転身する最低限、必要なスキルです。少なくとも日商簿記2級の知識は必要なのではないでしょうか。もし皆さんがM&Aアドバイザー業界に転身したいと考えていたら、日商簿記2級を取得してください。最低限そのスキルがあり、その上でコミュニケーションが一定程度あり、素直な方で、そして(欲を言えば)勤勉であれば、未経験でもいつかは立派なM&Aアドバイザーになる可能性があると言えるでしょう。是非、チャレンジしてみてください。

この記事の執筆者

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公認会計士 門澤 慎

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