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コロナ環境下のIPO市場とスタートアップ企業の今後

2020.04.20コラム

コロナウイルスにより我が国を含む世界中の株式市場は大きく落ち込んでいます。中央銀行が頑張って株価を支えようとはしているもののその効果は限定的で、まだ底が見えていない状況です。このような市況では既存の上場会社の時価総額が大きく減少するだけでなく、新規の上場会社も大幅に減少します。

2020年4月20日時点でコロナウイルスによる影響により一旦上場を中止にした企業は以下の18社となります。
Covid19の影響でIPOを中止した企業一覧

2019年までのスタートアップ市場は非常に活気がありました。
2010年には700億円程度しかなかった国内スタートアップ企業の資金調達額が2019年には4,500億円程度まで広がり、また調達した企業数も1,000社弱から2,000社程度まで増えています。調達額の総額だけでなく1社当たりの調達額も大幅に増加しています。これに伴い、スタートアップ企業の新規上場数も2010年には12社のみに止まったのに対して2015年には62社にまで増加し、2019年もSansan株式会社やfreee株式会社、Chatwork株式会社といった大型の上場を含め42社が新規上場を果たしています。
これまでのFinTechやヘルスケア中心のスタートアップに加えSansanやfreee、Chatworkに代表されるようなSaaS型のスタートアップ企業にも資金が集まることで、2020年以降も多様なスタートアップ企業の上場が期待されていました。

しかし今回のコロナウイルスによる市況の大幅な悪化により、各社は今後の成長戦略及び株主のEXIT(創業者利益の確保)戦略を大きく修正する必要となってくることが予想されます。

我が国において一般的にまずはIPOを目指す企業が多い一方で、アメリカはM&AによるEXITが多いと言われています(スタートアップ企業の9割がM&AによるEXITである、と言われています)。
スタートアップ企業を立ち上げある程度成長させた後に、上場企業等へ売却(もしくは資本業務提携等)することで、より事業の成長スピードを加速させるとともに、株主のEXIT(創業者利益の確保)も実現させています。

確かに我が国でもこの数年でM&Aや資本業務提携、業務提携等は、2014年時は400件程度であったのが、2019年には1,500件程度まで増えており、徐々にアメリカのような動きに近づいておりますが、まだまだM&Aが活用されていないのが現状です。
今後、スタートアップ企業の中には、将来性のある事業や技術はもっているものの足元の資金繰りに窮し事業継続が困難となる企業も増えてくると思われます。これらの企業を、比較的体力はあるものの将来の成長性に課題を抱えている大企業がM&Aにより取得し、スタートアップ企業が持っている事業やアイデアを加速的に成長させて企業価値を大きく向上させることで、コロナウイルス収束後の我が国の経済を大きく回復させる起爆剤となることを期待し、弊社もその中での一役を担っていきたいと考えております。

この記事の執筆者

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公認会計士 門澤 慎

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