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財務DDとビジネスDD

2022.01.27コラム

財務DDとビジネスDD

ビジネス面の分析が重要視されてきている

 M&Aにより会社を買収する際、会計士・税理士・弁護士等によるデューデリジェンス(以下、「DD」という。)を実施し、主に財務、税務、法務の視点から対象会社のリスクを分析します。そして昨今はこれらDDに加え、ビジネス面をDDのプロセスで分析することが重要視されてきているように感じられます。

財務DDの中でビジネスの分析・確認をするケースも散見される

 DDでビジネス面を確認する場合、戦略コンサルティングファームやその出身者、対象会社の業界に精通している専門家、または買収する会社が同業の場合は自社内の事業部門等が、ビジネスDDとして、財務・税務・法務に加えて実施することもしばしば目にします。
一方で工数の問題やコストの問題でビジネスDD自体を実施せず、財務・税務・法務DDの枠内でビジネスに関する確認を実施するケースも散見されます。この場合、特に財務DDの中でビジネスの分析・確認をすることになりますが、財務DDにおいて確認・分析できるビジネス面はどの範囲に及ぶでしょうか。

ビジネスDDにおける重要な目的とは

 ビジネスDDにおける重要な目的は、対象会社の事業内容を理解しその事業価値の源泉となる強みを特定することにあります。そのため、対象会社のあらゆる経営上の事項が調査対象となり、価値評価の前提条件となるビジネス情報を入手するだけでなく、買収後の事業計画の作成や会社運営体制を検討するための情報を取得することになります。

財務DDで確認できるビジネス面の分析とは

 一方で、財務DDでは、上記のビジネスDDで入手する情報のうち、(財務DDという名前がついているように)ビジネスDDで対象となる範囲において財務的、計数的な視点から調査・分析をすることになります。例えば、「特定顧客、特定エリアに対する収益の依存と粗利率の低下についての分析」、「主力製品のシェアの低下についての分析」、「原材料等の仕入れ単価の高騰に関する分析」、「生産能力についての分析」等を通じて、価値評価の前提条件となるビジネス情報や事業計画を検討することが考えられます。(上記はあくまで一例で、実際には買収する会社と専門家が事前に合意した範囲がDDの対象範囲となりなす。)

ビジネスをしっかりと理解する検討プロセスが重要

 上述の通り、財務DDだけでは対象会社のビジネスを財務的、計数的な視点からのみ捉えているだけで、一側面での分析検討に過ぎません。M&Aは「ビジネス」を獲得するための手段の一つです。外部の専門家を使うのか、自社内で実施するのか、はコストや工数との兼ね合いではありますが、対象会社の「ビジネス」をしっかりと理解するための検討プロセスもM&Aにおいて重要だと考えます。

この記事の執筆者

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公認会計士 門澤 慎

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