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会社分割の有効活用②

2022.08.26コラム

会社分割で優先的に検討される手法とは

少し時間があいてしまいましたが、今回は以前に書いた「会社分割の有効活用①」の続編を書いてみました。複数の事業を運営している会社が、一部の事業を売却等のために会社分割により切り離したい場合、特に税務面でどのような会社分割の方法が良いのか、について書いてみたいと思います。先に結論を申し上げると、「残す事業(売却しない事業)を分割型分割の方法で分割承継会社に移した上で、売却する事業が残っている会社の株式を売却等で切り離す方法」(以下の図のスキーム)が後述する税務上の適格性の観点からは優先的に検討される手法かと考えます。しかしこの手法も株主構成によって適格要件が若干異なってきます。今回はこの点を中心に説明したいと思います。

会社分割の有効活用②画像

適格分割か非適格分割か

会社分割をする上で、税務面で検討すべき視点は、適格分割か、非適格分割か、となります。そして一般的なケースでは課税を抑えることができるのは適格分割となります。「適格分割」と「非適格分割」の違いは、資産・負債を簿価で引き継ぐ「適格分割」(譲渡損益が発生しない)か、時価で引き継ぐ「非適格分割」(譲渡損益が発生する)かとなり、譲渡益が発生した場合は税金がかかります。さらに、分割型分割を選択した場合で「非適格分割」となる場合には、株主にみなし配当が生じ、思わぬ税金が発生することがあります。そのため時価で評価されることで多額の譲渡益が見込まれる場合は、(当然、税負担の軽減のみを目的とした租税回避行為はもちろんダメですが)極力、適格分割を選択したほうが税負担を少なくなります。しかし、「適格分割」の充足には様々な要件があり、また株主構成によってもその要件が変わってきます。そのため、会社分割のスキームを検討する際は、これらの要件をよく検討する必要があります。

会社分割の適格要件とは

要件は大きく3パターンに分かれます。これはステップ1における、株主と対象会社の株式持ち分比率によって異なり、以下のように分類されます。
①完全支配関係(100%)
②一の株主が50%以上の支配関係
③共同事業
④スピンオフ税制

①完全支配関係の場合
②50%以上の支配関係の場合
③共同事業の場合
④スピンオフの場合

色々と要件はありますが、分割型分割の大事なポイントは、金銭を対価としない、残す事業(売却しない事業)を分割する、という点です。この大枠の中で、株主構成よって種々の要件を検討することになります。

税務スキームは専門家を活用して適切に検討する

 M&Aのスキームは一義的には事業を継続・成長させることができるスキームを選択すべきです。そしてその中でいくつか選択肢があれば、税務メリットを取ることができるスキームを検討することになります。今回挙げたスキームもあくまで一例で全ての場合に適用できるものではありません。そのため、その都度、専門家を活用して漏れなく適切なM&Aのスキームを検討する必要があるでしょう。

この記事の執筆者

この記事の執筆者
公認会計士 門澤 慎

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